マラソンの大会後は炎症レベルが上昇
医療科学専門誌『The Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports』に掲載された新たな論文によれば、15名のアマチュア一流アスリートを被験者に、マラソンの前、直後、そして5日後の炎症マーカーを測定したところ、マラソンの大会後には炎症レベルが大幅に上昇し、5日後の再測定でも若干低下しただけだったそうです。
大会に限らず、長時間のハードな運動により炎症は起こります。米コロラド大学医学部の物理療法・リハビリテーション学准教授によれば、休息日を取らなかったり、ハードなワークアウトを立て続けにやったりすると、体が慢性的な炎症を起こしてしまうと言います。
重要なのは、予防策としてもリカバリーにより重点を置いた方がいいということ。以下の食品は天然の抗炎症効果があり、それらを食べることでリカバリーに役立ちます。
1. 葉物野菜
ほうれん草、ケール、キャベツ、からし菜などの葉物野菜には、必須ビタミンとミネラルや抗炎症性を持つことで知られているビタミンKが豊富です。また、強力な抗炎症作用のあるフラボノイドも含まれています。 抗炎症性の食品を多く摂取すると、心臓病のリスクが46%低下。脳卒中のリスクも28%低下することが明らかになっています。
2. ブルーベリー
ブルーベリーに含まれるポリフェノール のうち、60%はアントシアニンが占めています。そのほかにはケルセチンなども含まれています。これらは、抗炎症作用が高く、筋肉損傷などに対する有用性や、疲労回復に役立つと研究で判明しています。ブルーベリーは、ブラックベリーやイチゴよりも多種のポリフェノールを含み、多くの抗炎症・抗酸化物質を含んでいます。
3. パイナップル
パイナップルには、ブロメラインと呼ばれるたんぱく質分解酵素が豊富に含まれています。食べるとピリッとするのは、ブロメラインが含まれているからです。ブロメラインは、炎症箇所の血流を改善して炎症を緩和します。また、運動後の筋肉痛に効果的です。熱には弱いので、加熱する場合には60℃以下で短時間加熱するようにしましょう。
4. サーモン
サーモンに含まれるアスタキサンチンは、高い抗炎症作用と抗酸化力があります。研究では、プレドニゾロン(医薬品)と同等の抗炎症作用があることが分かっています。アスタキサンチンの抗酸化力は、ビタミンCの6000倍もあります。アスタキサンチンは、細胞膜をも貫通できるので、細胞全体を守る力に優れています。また、抗炎症作用のあるオメガ3(DHA・EPA)も豊富です。
5. チアシード
チアシードは、チアの種子です。浸水させると10倍くらいに膨らんでジェル状になります。チアシードには、ビタミン・ミネラルやオメガ3などが豊富。チアシードは、抗炎症作用のある、オメガ3系のαリノレン酸を約20%も含んでいます。また、チアシードの抗酸化物質には激しい運動によって起きた体内の炎症を軽減する効果があり、筋肉の回復に役立ちます。
6. ターメリック
ターメリックに含まれる黄色の天然色素クルクミンには、高い抗炎症作用があります。2021年に発表された研究では、ターメリックエキスの中から新たな抗炎症作用をもつ「ターメロノール類」が発見されました。このターメロノールAとターメロノールBという成分が特に強い抗炎症作用をもち、どちらの成分も炎症を抑制することが確認されました。